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April 28,2023
映像制作の見積書に記載されている「機材費」について詳しく説明します

以前、映像制作における見積書の項目を説明した記事を書きました。
今回はその中で「機材費」について詳しく紹介していきたいと思います。

【映像制作に必要な機材とは】
まず、映像制作に必要な機材は、用途に応じて異なります。
映像制作の規模や内容によって必要な機材の数や種類が変わります。

機材選びは映像制作の質を左右する重要な作業


撮影現場のロケーションを考慮して適切な機材を選ぶ必要がある

例えば、ドキュメンタリー映像やインタビュー映像の制作であれば、カメラやマイク、照明、三脚などの基本的な機材が必要となります。
一方、大規模な映像制作や映画制作では、高性能なカメラやレンズ、クレーン、ドリー、キャリーアップなど、多岐にわたる機材が必要となります。
これらの機材は、映像制作に欠かせない重要な要素であり、映像の質や完成度に大きく影響します。

映像の印象を大きく変える「音」は適切な機材で収録する必要があります


照明をうまく使うことで、様々な映像表現が可能になる

また、映像制作には機材だけでなく、ポストプロダクション作業に必要なソフトウェアやワークステーションのレンタル費用もかかります。

編集を行うワークステーションによって納期も変わってくる

ですが、機材は高価です。
テクノロジーの進化で20年前、10年前と比べると圧倒的に機材は安くなったことは確かです。
とはいえ商業的な制作の要求に応えるためには、その中でもプロ向けの高価な機材を用意する場面が多々あります。

そのため、制作を行うためには機材を購入するか、レンタルする必要があります。
映像制作会社では、必要な機材をレンタル会社から借りることが一般的です。
レンタル費用は、レンタル期間や機材の種類によって異なります。

このように、映像制作に欠かせない機材は購入するにしてもレンタルするにしても費用がかかるため、機材費用が必要になるのです。
Creekvitでは主にドキュメンタリー映像やインタビュー映像、WEB公開を前提としたプロモーション映像、イベントのLIVE配信などを得意領域としているため、映画制作やテレビCM制作と比べると必要な機材費用を抑えることができます。
そのため機材のほとんどを自前のもので賄っています。
それでも時折イレギュラーな依頼が来た時にはレンタルを活用して対応したりもします。

【制作会社が寄せられる様々な依頼】
映像制作のオーダーは複雑で多岐に渡ります。
・8Kの240pで撮れないか?
・最後のワンショットだけ電動スライダーを使ってほしい
・360度のVR映像を組み込めないか?
・講演会中に流すパワポの画面と登壇者の様子を一画面に集約してLIVE配信してほしい
・今回はデジタルサイネージで流すのでWMV形式で納品できますか?
・イベント上空でドローンを飛ばしてほしい
・SNS向けのショート動画にも使いたいから一部を縦向きで撮影してほしい
・収録したデータをカメラからすぐにクラウドへアップできないか

などなど。
上記は実際にあったオーダーですが、一見同じ様な内容でも、一部分だけアレンジが必要だったりと、微妙に自前の機材だけでは対応できない時などは一部レンタルを活用します。

【機材費とはいったい何なのか】
撮影や編集にかかる人件費は固定(1日または半日単位)が一般的かと思います。
ですが、機材費についてはどのような映像を作りたいのかというクライアントのオーダーに合わせてピックアップし、その合計費用を計上しています。
Creekvitでは機材一つ一つに1日単位の費用を値付けし、Googleスプレッドシートで管理しています。
機材ごとに細かく値付けをすることで、費用を正確に把握できるため、クライアントも制作側も納得のいく見積になります。
創業したてのころは案件ごとにおおまかな機材費用を見積もったりもしていましたが、徐々に依頼される案件の規模や予算が大きくなる中で、より正確な見積が必要になりました。

「この仕様ならカメラは〇〇で良いのではないか」
「インタビューは天候次第で室内で撮る可能性もあるので、照明は持っていこう」
「現場でのプレビューは複数名で行うので、モニターは大きめのものをお願いいたします」

こういった協議を重ねていけば、現場へ不要な機材を持ち込む(費用がかかる)こともありませんし、制作する内容への理解もお互いに深まります。

例) 発注側が構想している大まかな条件
・コンセプトムービーの制作
・社長のインタビューも一部入れたい
・尺は1分で解像度は4K

仮に上記のような構想があり、制作会社への見積依頼を行うとします。

上がってきた見積書には様々な項目が記載されている中、人件費の部分は撮影にかかる日数などを考慮してなんとなくのイメージがつくと思います。
ですが「機材費」はどうでしょうか。
制作会社から特に機材費の中身について説明が無い場合もありますし、もしかしたら計上すらされていない場合もあるかもしれません。
見積書の項目の中では割とスルーされやすい部分ですが、ここを見落とすと、満足のいく結果が得られない可能性が上がります。

どんな機材を持ってきてくれるのかわからないという状況は考えてみると怖いことかもしれません。

【とある会社の担当者の話】
見積書、その中でも機材費をよく理解せずに制作会社を選んで後悔したというエピソードを紹介します。
さきほど例としてあげた発注側の構想の中に「社長のインタビュー」がありましたが、見積を依頼したA社とB社で、撮影部分の費用に差がありました。

A社
撮影費 25,000円

B社
撮影費 50,000円
機材費 30,000円

撮影部分の費用で、A社とB社は倍以上の開きがありました。

全体の見積を見てもやはり、B社のほうが高い。
担当者は映像制作を発注するという行為が初めてだったため、「会社によってずいぶん差があるんだな」と感じました。

B社は多くの制作実績を積んでおり、なんとなく高いのは予想できた。
しかし、正直対してクオリティに差は出ないだろうし、費用も抑えられるA社に頼むかな。

念の為、まずA社に話を聞いたところ「撮影にかかる費用は全部コミコミです」といった回答が得られた。

担当者はそのあと、B社に丁重にお断りを入れようと電話をしたところ、

「撮影費はカメラマン1日の人件費です。機材費については、カメラ、レンズ、照明を3本、その他細かな必要機材の金額になります。コンセプトムービーを作るならしっかりとしたレンズで撮るべきですし、インタビュー場所のロケーションによっては逆光ぎみになることも考えられます。その場合は照明が無いと酷い映像になってしまいます。
社長さんのお顔にちゃんと立体感も出したかったので、ライティングを考えて照明を3本で考えていましたが、最低1本あれば撮影はできますので、そこは調整します」
と、B社からかなり具体的な説明を受けた。

「たしかに照明とか必要だよな…」

担当者はB社の見積書に記載されている機材費の項目を見つめながら、さきほどの電話の内容を思い浮かべていた。

再度A社に電話をし、今度はどんな機材を持ってきてくれるのかといった質問をしてみた。

「基本的にはカメラ1台ですね。先日、インタビュー場所を拝見した時に室内光がかなり明るい感じだったので、照明を入れるほどでは無いかと。逆光だけ気をつけておけば大丈夫です」

電話を切ったあと、改めてA社のホームページを確認し、制作実績を見たが、インタビューに関する実績は見当たらない。
もしかしたらインタビューの撮影って結構難しい仕事なのか?
そう考えたが、結局今回は予算のこともあり、A社にお願いすることに決まった。

撮影当日。
A社のカメラマン兼ディレクターが1名で現場に来た。
一通り会社内の撮影をしてもらい、最後に社長のインタビューを行った。
カメラ1台で撮っているだけあって、準備もすぐ終わる。

「今日は思っていたよりすぐ帰れそうだな」

担当者がそんなことを考えているとあっという間にインタビューは終了した。

インタビューは社長室の大きなガラス窓を背にしたほうが見栄えも良かったが、ちょうど西日が入ってくる時間帯だったので結局、殺風景な白壁にした。
テレビ局の取材などでよく見る大きなマイクとかを持ってくるかと勝手に思っていたが、担当者曰く「イマドキはカメラ内臓のマイクで十分拾えますから」とのことだった。

後日。
A社から動画の初稿が上がってきた。
内容はだいたい打ち合わせ通り。
たまにピンボケしているようなシーンもあったように見えたが、きっとそういう演出なんだろうと思い、ひとまず各部署の担当者に共有しておいた。

社長も見たいらしい。
修正依頼とか一通り終わってからのほうが良いと思ったが、自分のパソコンで見せることに。

「やっぱり背景がなあ。後ろガラス窓だとダメだったんだっけ?あとはちょっと俺の顔がのっぺりして見えるというか。こんなもんなのか。撮影終わったあとにカメラのデータ見せてくれたらよかったのになあ。」

社長は少々不満げだった。
たしかに大手他社の社長インタビューとかを見ると、背景もかっこいいし、なんというか、顔がグワっと立体感のある感じに見えて印象的だ。

「あとさ、俺の声がなんだか遠くに聞こえるというか。マイクつけてたっけ?ちょっとこれだとな〜」

たしかに。再度、大手他社の社長インタビューを見ると、まるですぐそばで喋っているような、非常にクリアな音声だ。
なんというか、語りかけられているような、印象に残る感じがする。

他の部署から上がってきた意見と合わせて、A社に社長の感想も伝えてみた。

「ご都合よろしければ社長さんのインタビューだけ再撮影させていただきます。あと照明とモニターも持っていきますね!ただ、別途費用がかかるので、そこだけご理解いただければと」

担当者はA社の「再撮影」という言葉が気になった。
今回だって社長のスケジュールようやく抑えて撮ってもらったのに。
そんな簡単に再撮影と言われても…
結局機材の費用もかかるなら最初からちゃんと提案してほしかった。

会社として初めて作ることになったコンセプトムービーの担当者に選ばれたことを今更ながら後悔していた。

半年後。
結局、最初に撮った社長のインタビュー映像はボツとなった。

スケジュールの目処もついたのでコンセプトムービーの制作はイチからやり直しということになり、半年前に断ったB社に相談したところ、快諾してくれた。

撮影当日はB社からディレクターとカメラマンの2名のスタッフが来てくれた。
照明やらワイヤレスで接続できるらしいピンマイクなど、カメラマンがあれこれ説明してくれた。
レンズをちょこちょこ替えたり、カメラを載せるジンバルと呼ばれる機材を使って会社の内外をくまなく撮ってくれた。

ナレーションの原稿もこちらの情報をもとに綺麗にまとめてくれて、担当者である自分にとっては本当に楽だった。

結果的に費用は多少かかってしまったが、社長も大満足の良い映像が出来上がった。
取引先からの評判も上々だ。

「ウチも作ろうと思ってたところなんだけど、制作会社さん紹介してくれる?」といった連絡もあったので、B社を紹介した。

完成した映像はコーポレートサイトのトップページに掲載したり、昨年から始めた会社のYouTubeチャンネルにもアップしてみた。
その後、会社紹介動画をまとめているサイトに掲載されたようで、そこから結構観にくる人も多いようだ。

「地元にこんな会社あったんだ。もっとたくさんの人に知ってもらいたいと思った。」
「社長かっこいい。社員たちへの想いが伝わってきました。」
「動画を見てウチの息子が来年新卒でエントリーするって言ってます。笑」
と、予想以上にコメントも多く寄せられ、上司にも担当者としての仕事を認めてもらえたようだ。

その後B社とは会社の周年行事のイベントや、会社案内の刷新、これまで無かったキャッチコピーやロゴの制作などまるっとお願いする関係となり、社内でも「良い会社を見つけたね」といつも言われている。

【まとめ】
より具体的にイメージしてもらうために、とある会社の担当者の話としてストーリー仕立てに紹介しました。
かなり地味ですが、結構リアリティのある内容だと思っています。
制作界隈では良くありそうな…あるあるネタとして心に留めていただければと思います。
今回は映像制作でスルーされがちだけど重要な「機材費」について説明しました。

これから初めて発注をされる担当者の方など、ぜひ本記事を参考にしてください。